工場内への昆虫の侵入防止対策

工場内への昆虫の侵入を阻止するには

工場内への昆虫の侵入を阻止するには

防虫構造,昆虫,侵入,防止,防虫管理

 

工場内に侵入してくる昆虫は実に多種多様ですが、大まかに次のように分けることができます。

 

・光や色に誘引されて侵入する昆虫
・食品や化学品等の臭気に誘引されて侵入する昆虫
・冬場に暖を求めて侵入してくる昆虫
・気流に乗じて侵入してくる昆虫(差圧、陰圧)
・人や物に付着して侵入してくる昆虫(付着侵入、持ち込み)
・偶発的に侵入してくる昆虫(迷入、迷い込み)
など

 

工場内でモニタリング調査を実施した際に捕獲される昆虫の大部分は、外部から侵入してくる昆虫、すなわち外部侵入昆虫です。
一般に、ライトトラップで捕獲される昆虫は、外部から飛来侵入する外部侵入昆虫が多くなり、次いで排水系から発生する昆虫が多くなる傾向が強いです。
ただし、食品工場の場合は内部発生昆虫が優占的に捕獲されることも多いです。

 

では、昆虫はどのような箇所から侵入してくるのでしょうか。

 

昆虫の外部からの侵入箇所としては、搬出入口、出入口、窓、換気扇、排水溝、排水管、壁と天井の接合部、壁と床の接合部、外装材の隙間、ルーフファン、モニター、スピーカー・ダクト・照明等の取り付け部、吸排気口、エキスパンションジョイントなどが挙げられます。

 

開口部が大きければ大きくなるほど侵入する昆虫の個体数は多くなります。
従って、開口部が大きいところから優先的に対策を講じてゆく必要があります。

 

工場では、扉やシャッターを開けてすぐに製造環境に到達できる造りは推奨されません。
人や物が出入りする際に侵入する昆虫を防ぐために、必ず窓のない前室を設けなければなりません。
その際、扉やシャッターは自動式で、二重のインターロック方式にするのが望ましいです。

 

工場によっては、夏場に窓を開けて網戸の状態にしているのをよく目にしますが、これでは本気で防虫に取り組もうとしているのか疑わしく思えます。
いくら網戸があっても窓を開けた状態で防虫は不可能と認識して下さい。

 

窓や換気扇、吸排気口など外部に開放されている箇所には防虫網を設置します。
ただし、昆虫の侵入可能な隙間は、1mm以下と考えておかなくてはなりません。
網目サイズには様々なものがありますが、あまり目の細かいものを選択すると、目詰まりを起こし、換気等の実用性がなくなる恐れがあります。
従って、防虫と現場作業との理想と現実を検討し、双方にとっての妥協点を見つけて実施するほかありません。

 

トラックなどが原料・資材の搬入や製品の搬出をする際は、扉やシャッターが開放され、昆虫が侵入しやすい状態になるため、いったん原料庫や資材庫、製品倉庫等の保管場所を経由するようにするべきです。
原料から発生した昆虫が、製造中の製品に混入しないように保管場所と製造場所との間に隔壁などを設けて隔離しなければなりません。
また、原料の保管場所は、外部から昆虫が侵入しないよう密閉条件にし、定期的に殺虫施工(薬剤処理)を実施するなどして、常時昆虫がいない状態を保たなければなりません。

 

段ボールなどの包装(外装)資材には、チャタテムシシミゴキブリ卵鞘)などが付着していることが多いため、直接製造環境に持ち込まずに一次保管庫のような場所でワンクッション置いてから、エアーで吹き飛ばしたり、場合によっては殺虫するなどの処置が必要となります。


関連ページ

最近よく耳にする総合有害生物管理(IPM)とは何か?
防虫管理はどのような流れで進めるべきか?
防虫管理におけるモニタリングとは?
モニタリングのメリットとは?
モニタリングトラップの同定・カウントについて
モニタリング結果から何がわかるのか?
昆虫モニタリングに使用するトラップ
ライトトラップについて
ライトトラップ本体の耐用年数
ライトトラップ本体交換の目安
床置き式粘着トラップについて
床置き式粘着トラップを紛失させないアイデア
フェロモントラップとは?
フェロモンを用いて害虫管理を行うメリット
インスペクションとは?
インスペクションのツール
インスペクションを行う際に忘れがちなポイント
PCOと契約する際の確認事項
防虫担当者とPCOの関係
製造業者にとって異物混入はリスクなのか?
異物混入におけるリスクマネジメント
昆虫の食品への混入によるトラブル
カタラーゼ活性試験とは?
防虫担当者・品質管理担当者必見!昆虫由来異物の送付方法
原料、中間品、製品に混入した昆虫類の抽出方法
食品害虫のかじる能力
防虫包装とは?
外部から工場に侵入する昆虫
光と色による害虫管理
光源管理(ライトコントロール)事始め
昆虫と光の関係
昆虫を寄せにくいナトリウム灯
黄色に防虫効果はあるか?
工場で問題となる昆虫の飛翔性
工場でよく問題となるクモ
昆虫の温湿度や二酸化炭素濃度などに対する習性
昆虫が工場内へ侵入するのを防ぐには?
どんなサイズの昆虫までが管理対象となるのか?
工場外部の点検も忘れずに
緑地帯の害虫管理
昆虫と植物の関係
昆虫の樹木に対する好み
工場内部で発生する昆虫
ゾーニングの意味を再考する
工場で昆虫を管理するとはどういうことか?
製造環境の指標となる昆虫類
製造工場で化学的防除を実施する際に考慮すべきこと
薬剤の保管と処理の仕方
用途に応じた殺虫剤の選定
なぜ海外進出日本企業は現地で日本式防虫管理が必要なのか?
ゴキブリの生息状況の確認
ゴキブリ駆除にはベイト剤
ゴキブリ指数と防除効果判定法
エレベーターには昆虫がいっぱい
木製パレットは百害あって一利なし!?
意外と工場内に多い!?菌を食べる甲虫
工場の天井裏に潜む昆虫
「外部からの飛来虫を防ぐには扉が4枚必要」の意味は!?
屋上・屋根の防虫管理
工場や倉庫でよく問題となる外部侵入アリ
工場や倉庫でよく問題となる内部発生アリ
防虫ネットで虫がどれだけ防げるか?
米からの貯穀害虫の発生について
GDPに対応した防虫・防鼠・衛生管理

ホーム RSS購読 サイトマップ
HOME 用語集 関連書籍 お役立ちツール お問い合わせ