正しいマナーを知らないと損をする!?昆虫由来異物の送付方法

防虫担当者・品質管理担当者必見!昆虫由来異物の送付方法

防虫担当者・品質管理担当者必見!昆虫由来異物の送付方法

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昆虫由来の異物混入事故が起きた場合、発見者(消費者や納入先など)は製造業者のもとに当該製品、あるいは当該異物(昆虫)のみを送ります。

 

その検体を受け取った製造業者が、もし検査分析を外部の専門家(分析機関など)に依頼するのであれば、その検体を破損しないようにそのままの状態で持参、あるいは送付することが重要です。

 

製造業者が自社内でたらい回しし、品質管理担当者が色々といじくって破損し、同定の決め手となる部位を紛失した挙句に、専門家に委託するというケースがよくあります。
こうなってしまうと、本来は同定可能であった検体も同定できず、問題も解決できなくなってしまいます。
もし昆虫の同定に自信がない場合は、自社でいじくり回す前に専門家に委託するのが良いでしょう。

 

昆虫由来異物を送付する際に、検体を製品そのものやコピー用紙などにセロテープで貼り付け、封筒などにポイっと入れて送られてくることが多いです。
しかし、封筒に直接入れた状態では衝撃にも弱いので検体が破損する恐れがあります。
そして、それよりも何よりもセロテープで検体を貼り付ける行為は絶対にしてはいけないことです。
これをやってしまうと、検体をセロテープからはがす際に翅や触角、脚、微毛、鱗粉などの同定に必要な部位が損なわれることが多いですし、特に微小なハチやハエ、蛾などではもうお手上げで、何ともできないことになります。

 

コットンやティッシュペーパーなどの軟らかいもので包み、シャーレ、ポリチューブ、スクリュー管瓶などに入れて送ると破損しにくいです。
こういった入れ物がない場合は、フィルムケース、キャラメルの空き箱、マッチ箱、チャック付きの小さいビニル袋なんかでも代用が利きます。

 

幼虫(ハエや蛾、甲虫など)やクモは、乾燥して縮んでしまったり、腐ったりしやすいので、その場合はスクリュー管瓶(サンプル管瓶)に70〜80%アルコールで封入すると良いです。
そして、それをチャック付きの袋に入れ、破損しないよう梱包材と共に箱に入れて送ります。発泡スチロール箱でも大丈夫です。

 

検体と共に依頼書も同封しておくと良いです。
専門業者の場合、独自の依頼書を指定してくることが多いので、質問事項に従って記入欄に記入します。
専用の依頼書がない場合は、発見場所、発見時期、発見の経緯、発見時の状況、発見時の生死などをできるだけ詳しく書いておくと昆虫種の特定や、混入経路の推定に役立ちます。
また、製品の製造年月日や保管状況、流通経路など、製品についての情報も可能な範囲で記録しておくと後々役に立つことが多いです。

 

混入経路の推定まで行いたいのであれば、虫体のみでなく、製品そのものも送るべきです。
昆虫が混入していた製品そのものには、脱皮殻や排泄物、齧った跡などの痕跡、すなわちヒントとなる情報が残されている可能性が高いからです。
このような情報が、後々混入経路を推定する際の重要な決め手となることが非常に多いです。
ですので、製造業者はできるだけクレームとなった商品を丸ごと回収するよう努めなければなりません。

 

それから、最近よくあるのが、昆虫の写真だけを送りつけて同定を依頼してくるパターンです。
もし、写真が鮮明であり、様々な角度から撮影されているならば、ある程度の回答は得られるかもしれません。
しかし、昆虫の現物がなければ正確な同定はほぼ不可能ということを知っておいて下さい。

 

ましてや、電話で異物混入クレームの説明をし、原因となった昆虫が何か聞かれる場合がありますが、こんなのは言語道断です。


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