フェロモンを用いて害虫管理を行うメリット

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フェロモンを用いて害虫管理を行うメリット

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フェロモンを用いて害虫管理を行った際の利点として、以下の点が挙げられます。

・目的とする害虫以外の生物（天敵や鳥、魚、人間など）に無害
・自然界で容易に分解され、環境汚染の心配が無く、扱いが安全で簡単
・抵抗性が発達しにくい
・天候にあまり左右されない

このようにフェロモンには他の化学物質にはない様々な利点があるので、これを利用したフェロモントラップも多数開発されています。
フェロモントラップは、とりわけ、安全無害であることが最大の売りであるため、殺虫剤嫌いの自然派防虫担当者の間では爆発的な人気があります。

しかし、決して忘れてはならないのが、クリーンな防除法ではあるけれどフェロモントラップだけで対象害虫を駆除するには困難だということです。
フェロモントラップはあくまでも調査用ツールなのです。

ただし、フェロモントラップを昆虫モニタリングに利用して総合的有害生物防除（以下、IPMとする）の主翼としての役割を担うことは可能なので、実際に穀粉工場や精米工場、穀物貯蔵庫などで使用する場合は、効果的な昆虫モニタリングのため大いに活用して下さい。

フェロモントラップは、

・発生を知るセンサーとして
・発生を早期に探知する手段として
・発生源を探知する手段として
・年間の発生消長を明らかにする手段として

利用可能な優れたモニタリングツールだと言えます。

ただしフェロモンは決まった種にしか働きませんので、製造現場で問題となっている昆虫種に合ったフェロモントラップを選択しなければなりません。

※近年、数種の貯穀害虫を同時に捕獲できるフェロモントラップが開発されています。
一見簡便に思われますが、多様な貯穀害虫が捕獲されるということは、捕獲された種を同定する能力と、それらを個々にカウントする労力が必要になります。
従って、どのような貯穀害虫種がどれくらい存在しているのかを調べる、すなわち初っ端の昆虫相調査的に用いるには非常に有用だと思いますが、ひとたび貯穀害虫種が特定されたならその後は対象種ごとの専用トラップに切り替えるのも一つの手だと思います。（2016年6月追記）

そして、もちろんフェロモントラップを対象種の捕獲を目的として設置することも可能なのですが、IPMではフェロモントラップを用いた効果的なモニタリングによって得られた結果をもとに様々な改善を行い、効果を高めていくことが望ましいと考えられます。

以下は食品取扱施設や倉庫などでよく使われているフェロモントラップです。