消費者の眼はまさに驚異的!そんな虫まで発見するか!?

どんなサイズの昆虫までが管理対象となるのか?

どんなサイズの昆虫までが管理対象となるのか?

異物混入防止,防虫管理,対象

 

医薬品はその製品形態もさることながら、使用される状況からも食品と比べると混入異物は格段に発見されやすく、医薬品工場ではどれほど微小であっても異物混入は許されません。

 

これに対し、食品はかなり曖昧な要素があり、加工食品については医薬品に準じた管理方法論が必要であるにもかかわらず、異物に対する発見者側の寛容さの違いに依るところも大きいです。

 

また、同じ昆虫でも発見の難易があるため、製品の形態により管理対象生物のレベルが異なってきます。

 

ちなみに、食品において最も発見されやすい製品形態は、透明な包装フィルムで密閉されたものであると言われています。

 

これまでの異物混入事例で、製造工程での混入と確認された中で最小の生物は、1枚ずつフィルム包装されたスライスチーズから見つかったアシブトコナダニだそうです。

 

このダニの仲間は体長がたったの0.5 mm内外で、チーズダニとも呼ばれています。

 

ただ、この場合はこの発見者が驚異的なのであり、仮にこのアシブトコナダニが食品に数個体混入していたとしても普通なら発見される可能性は極めて低いはずです。

 

ところで、ライトトラップ床置き式粘着トラップを用いた昆虫モニタリングでは実に様々な昆虫が捕獲されますが、実際に食品(製品)中から混入異物として発見される可能性があるものはどれくらいの大きさなのでしょうか。

 

実は、一般消費者にとって昆虫と認識され、発見されやすい異物は、大きさが2.0 mm以上で、形態的特徴として翅が確認できるものというデータがあります。

 

また、過去の異物混入事例では、ノミバエショウジョウバエユスリカチョウバエタマバエなどのいわゆるコバエが圧倒的に多く、そのほとんどが2〜4 mmとのことでした。

 

またシバンムシホソヒラタムシなどの微小甲虫やメイガの成幼虫も常連で、他の追随を許さない状態が続いています。

 

これらを三つのカテゴリーに分けてみますと、まず実体顕微鏡(10倍)でようやく確認が可能な節足動物(≦1 mm)として、ダニ(チリダニ、コナダニ、ニクダニ、ハダニ、タカラダニ若虫など)、アザミウマチャタテムシ若虫、トビムシなどが挙げられます。

 

次に、普通は見過ごしてしまう昆虫(≦2 mm)として微小甲虫(キスイムシ、ヒメマキムシ、テントウムシダマシなど)、チャタテムシ、コバエ、コバチ(寄生蜂)、微小カメムシ目昆虫(アブラムシ、キジラミ、コナジラミなど)、クモの孵化後間もない若虫、タカラダニなどが挙げられます。

 

最後に、肉眼でも容易に確認できる大きさの昆虫(>2 mm)として、上記以外のほぼ全ての昆虫が該当し、種類、個体数ともに最も多いです。

 

このことから、一般的な食品工場では主に体長2 mm以上の昆虫の管理を徹底すれば一般消費者からのクレームは随分回避されることになると考えられます。

 

ただし、一般消費者に発見されやすい形態の製品に関しては相応の対策が必要になります。

 

一昔前は、一般消費者からの異物混入クレームと言えば、サイズの大きな昆虫やイメージの悪い昆虫によるものばかりでしたが、近年はぎりぎり肉眼で見える程の小さなものが増えてきています。

 

それだけ異物混入に対する一般消費者の意識が高まっているということでしょう。


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