ゴキブリを退治したらゴキブリ指数で効果判定!

ゴキブリ指数と防除効果判定法

ゴキブリ指数と防除効果判定法

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ゴキブリの防除の際によく使用する言葉「ゴキブリ指数」。

 

ゴキブリ指数とは、元来ゴキブリ防除作業後の効果を判定するための指標として作られたものです。

 

防除作業とは、効果判定やこの後の事後処理があって初めて完結するものなのですが、効果判定には二つの意味と目的があると考えられます。

 

第一に、防除作業が目的に沿って施工され、成果をあげたかどうかの確認と評価が挙げられます。
特に害虫駆除業者(以下、PCOとする)は、契約どおりにゴキブリなどの害虫やネズミなどの害獣を減らしたかどうかを提示する必要がありますので、どれくらい減少したかを量的に表した客観的効果判定資料を提示しなくてはなりません。
「何となく減った」とか「減ったような気がする」では効果的に駆除したことにはならないのです。

 

第二には、防除技術の改良や開発という目的のため、ということが挙げられます。
効果判定によって初めて施工方法や技術などが評価でき、不備な点や誤った点が明確になるのです。
そこで初めて現行の方法や技術の改善が可能になるわけです。

 

さて、実際に現場で使用されている効果判定には大きく分けて「生息密度推定による方法」、「証跡による方法」、「アンケートによる方法」の三つがありますが、いずれも作業前と後の害虫獣の密度レベルを比較して防除効果を判定するというものです。

 

実際にゴキブリ指数は上記の「生息密度推定による方法」に使用します。

 

それではゴキブリ指数の求め方ですが、基本的なものとしては、床置式粘着トラップを10〜20箇所に2日間配置して捕獲個体数を計測します。
そしてその単位トラップ、単位日数(1トラップ1日)当たりの捕獲個体数をゴキブリ指数とします。

 

例えば、ある現場(A)において15箇所に床置式粘着トラップを2日間設置し、総捕獲個体数が21個体であった場合、現場(A)におけるゴキブリ指数は0.7となります。

 

また、財団法人日本環境衛生センターおよび社団法人日本ペストコントロール協会によると、ゴキブリ指数の基準値を1とし、1以下の状況を維持することを提唱しています。

 

この基準値の設定は食品工場や飲食店によってまちまちですが、徹底した数値管理を行っている企業においては、ゴキブリ指数の基準値を0.5以下に設定しています。

 

上に挙げた三つの効果判定法のうち、最初に生息密度推定による方法について見てみましょう。

 

実際に現場において害虫獣の生息数を把握することは極めて困難です。
そこでゴキブリの場合は、生息密度を推定して比較するのにゴキブリ指数を使用するのです。
これが最も簡便で比較しやすいからです。

 

ただし、注意すべき点として、防除作業前後でトラップの種類、数、設置場所、設置期間などの方法を完全に同一にしなくてはなりません。

 

ちなみに防除効果を測る上で一般的に用いられている式は次のように表されます。

 

防除効果 (%) = {1−(防除後のゴキブリ指数÷防除前のゴキブリ指数)}×100

 

次に、証跡による方法に関してですが、ネズミであれば、ラブサイン(こすり跡)や齧り跡、毛や糞の存在を点数化するなどの工夫をし、量的に把握して比較します。

 

同様にゴキブリの場合も、ローチスポット、糞、虫体などを目視で観察し、定量的に把握して比較します。
ただしこれは具体的な数値で表しにくい方法と言えます。

 

最後にアンケートによる方法ですが、これは防除作業後のアンケートによって、作業前後における居住者の被害意識の変化、虫体を目撃したかどうかなどを聞き取り、その変化から防除効果を評価する方法です。

 

しかし、この方法では具体的な数値を得ることができないため評価はしにくいです。


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