モニタリング結果から何がわかるのか?
食品や医薬品、包材等の製造工場で定期的に行われている昆虫のモニタリングによって得られる一次データは、各トラップで捕獲された昆虫の個体数(頭数)のみです。この一次データは単に各トラップにおける捕獲個体数の多少を示しているに過ぎないのです。
しかし、一次データを蓄積し、解析することで様々な情報を得ることができます。
例えば、
・昆虫種やエリアごとの発生消長
・昆虫の分布や生息範囲の変遷
・防虫対策(各種防除施工)の効果判定
・年間防虫管理プログラムの総合的評価
・逸脱(異常)の早期発見
・最良の対策時期
などが挙げられます。
これらの情報を得るためには、モニタリングデータを基準化するためにモニタリングトラップの設置期間(間隔)や設置箇所、ポイント数(トラップ数)などを一定にする必要があります。
データ解析の一例として、昆虫捕獲数の変動率を見る方法が挙げられます。
昆虫捕獲数の変動率は、効果判定をする際の指標として非常に有効です。
この変動率は、前月の捕獲指数を1.0とした場合、次月の捕獲指数がどれくらいになるかを算出して求めますので、次月の変動率が1.0より高ければ捕獲が増加、1.0より低ければ捕獲が減少、1.0であれば現状維持していることを表します。
従って、例えば工場内で内部発生虫対策として薬剤処理を行った場合、算出した変動率に照らし合わせて効果を検証することができます。
つまり、次月の捕獲指数が変動率から割り出した予測値よりも低くなれば効果があった、高くなれば十分な効果が得られなかったということになるため、対策の継続、強化、あるいは他の対策実施ということになります。
捕獲昆虫の発生消長が大体毎年同じであった場合、変動率が高くなる月の前のタイミングで対策を強化することが可能となります。
また、これまでと大きく異なった変動率の増加が見られた場合にも、すぐに原因究明を行い、早急に対処することができます。
定期的に昆虫相調査やモニタリング調査を行っていても、単にデータを蓄積しているだけでは非常にもったいないです。
そこから得られるデータ(情報)を最大限に活用し、ぜひ防虫管理に役立てて下さい。
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