インスペクションのツール
製造工場等においてインスペクションを実施する際は実に様々なツールを用います。
服装は、工場もしくはインスペクションを行うエリアの清浄度(クリーンレベル)に合わせる必要があります。
屋外や倉庫を調査する場合は、日常の作業着でも問題ありませんが、充填室、包装室など、清浄度の高い環境ではそれなりの恰好をする必要があるでしょう。
恐らく、白衣、白帽、マスク、手袋(グローブ)、場合によっては靴(ゴム長や安全靴)の着用が求められます。
白衣は白帽と一体になったフード付きのものが便利です。
マスクと手袋は使い捨てタイプを使用します。最近は白衣、白帽、マスクが入った簡易式の工場入場セットが販売されており、使い捨てなので衛生的で非常に便利です。
インスペクションを行う際は工場の平面図に気付いたことを書き込んでいきますので、最低限ボールペンは必要です。
このとき、ボールペンはキャップ式ではなくノック式のものを使うようにしましょう。
キャップが紛失し、異物混入の要因となる可能性があります。
徹底しているところは金属製のボールペンしか使用していません。
また図面(紙)にホッチキスやセロハンテープが使われていないか確認しましょう。
これらも紛失して異物となる危険性があります。
どうしてもホッチキスで閉じる必要がある場合は、紙製のホッチキスを使用しましょう。
インスペクション時はデジタルカメラで問題箇所を撮影するのですが、デジカメはできるだけ小さくて、軽く、接写(マクロ)に強いものが良いと思います。
あまりにも大きいと作業に差し支えますし、時にはチャタテムシやチョウバエのような小さい昆虫やカビなどを接写する必要があるからです。
薄ければポケット等にも簡単に収納できます。
幸いにも最近は薄くて機能性の良いデジカメが手頃な値段で購入できるようになってきました。
インスペクションでチェックする場所は明るいところばかりではありません。
むしろ暗くて人目に付かないところほど問題が潜んでいます。
こんな時は懐中電灯(ペンライト)があると重宝します。
見にくいところを見るための商品としてインスペクションミラーというものがあります。
これは長いスティックの先にミラーが取り付けられたもので、マシンの裏や上部など普段目が届きにくいところを見るのに適しています。
ドライバーもあると便利です。
インスペクションをしていると、意外と色々なところを開ける必要性が出てきます。
ピンセットとサンプル(スクリュー)管瓶を数本。
これらは何かを採集し、一時保管しておくのに用います。
例えば、ある昆虫が大発生していたけれどその昆虫が何であるのかその場ではわからなかったとします。
このような場合でも、とりあえずサンプルとして数個体を採集しておけば、後で同定することが可能というわけです。
ガムテープや養生テープ。アルミテープなどもあれば色々と役に立ちます。
例えば応急的な隙間埋め(シーリング)。
インスペクションで発見した穴や隙間はその場で凌ぐことが可能な場合も多いのです。
ステンレス製のヘラ(パレットナイフ)。
これは製粉工場や精米工場、製パン工場など粉を扱う工場で使用頻度が高いツールです。
機械の足と床の隙間など、粉が溜まっているところには必ずといって良いほど乾燥食品害虫(貯穀害虫)が存在します。
それらを簡単にほじくり出すことができるのがこのヘラなのです。
マイナスドライバーでは太すぎる隙間でもヘラを使えばあっという間に彼らの存在をチェックすることが可能です。
人間が目視で確認できる範囲なんてたかが知れています。
普段からこのようなツールをインスペクション七つ道具として工具箱(ツールボックス)に準備しておくと、急なインスペクションでも慌てずに実施することができると思います。
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