床置き式粘着トラップを紛失させないアイデア
床置き式粘着トラップ(スティッキートラップ)を回収する際、
・前回設置した箇所から移動している
・誰かに踏みつけられてぺちゃんこになっている
・結局見つからない
・ゴミ箱に捨てられている
・濡れてベトベトになっている
などの事例がよく見られます。
ここで問題なのは、前回トラップを設置した箇所にそのトラップが設置時と同じ状態で設置されていなかったという点です。
つまりこれは、正確な昆虫モニタリングができていないということになるのです。
位置が変わっていた、つぶれてぺちゃんこになっていた、濡れて粘着力が低下していた、紛失した・・・などというのは、もはやデータとしてはほとんど意味を持ちません。
それでは、こうならないためには具体的にどういったことをすれば良いのでしょうか。
「設置した場所からスティッキートラップが移動しなければ良い」ということでトラップの裏面と床面を両面テープ等で固定するという手法を用いている事例もたまに見かけますが、個人的にはこれはあまりよくないと思います。
トラップと床面の間に隙間ができやすいため、徘徊性昆虫が捕獲されにくい上に、結局踏んづけられたり、清掃によって濡れてしまったりするからです。
最近良く目にする良い事例としては、スティッキートラップの常設箇所(床面)をカラーテープで四角くテーピングし、その枠内には入らない、物を置かない、清掃の際に注意する・・・といったことを製造現場の従業員に遵守して頂くというものです。
テーピングは目立つ色で行い、壁面の人目につきやすい箇所にはラミネート加工した札(看板)を貼付し、従業員(パートタイマー含む)や出入り業者など工場内に出入りする従事者全員に告知します。
札には、目的と管理情報(トラップ番号、管理会社名、責任者名、連絡先など)を記すと良いでしょう。
また、このとき気を付けたいのは、札の設置に画鋲などの金属製のものは絶対に使用しないということです。
もしそれが紛失するなどしたら異物混入の危険性がぐっと高まりますし、金属は消費者に危害を与える恐れが非常に高いからです。
比較的安全な紙製のテープを用いたとしても、床面のテーピングと同様に破れ、擦り切れなどの老朽化に常に気を配り、古くなってきたらすぐに貼りかえるようにしましょう。
しかし実際には、これだけのことをやったとしても毎回紛失する箇所や毎回濡れている箇所というのがあるかもしれません。
そのときは、改めて、昆虫モニタリング用スティッキートラップの設置箇所を見直す必要があります。
紙製の床置き式粘着トラップの1枚当たりの単価は非常に安いです。
しかし、その1枚の床置きトラップから得られる情報(モニタリング結果)は非常に価値のあるものです。
たかが床置き1枚、されど1枚。
床置きトラップの1枚1枚を無駄にせずに毎月のモニタリングに取り組めると良いですね。
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