昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

シミ

シミ

シミは、湿虫(しめむし)を語源とするようですが、漢字では紙魚、衣魚、英語ではsilverfishと書きます。
動きが速くて、銀色の麟粉に覆われた体を輝かせすばやく走るため「魚」の字があてられているのでしょう。

 

シミは一般住宅であれば本棚や押し入れの中を、食品工場や医薬品工場であれば段ボールなど紙由来の塵埃が多い倉庫などを、ちょろちょろと走り回っています。

 

日本には昔からヤマトシミがいますが、近年一般住宅ではセイヨウシミが増えてきました。
一般に、工場内ではヤマトシミ、セイヨウシミ、マダラシミ、セスジシミなどが定着していることが多いです。

 

これらはまれに非常に清潔な環境である医薬品工場のクリーンルーム内ですら見られることがあります。

 

シミは湿気を好み、乾燥や光を嫌います。

 

体長は約10mmで、3本の尾があり、指で押しつぶすと細かい銀の鱗粉がつきます。

 

書籍、和紙、掛け軸、障子、壁紙をかじり取って食べ汚しますが、穴を開けることはまずありません。
ここに挙げた紙類のほかには、衣服、毛織物、小麦粉、パンなどの食品を食べると言われていますが、工場内ではほとんど目に見えない微細な有機物を食べているようです。

 

年に3〜4回発生し、昆虫にしては長寿で短くとも2〜3年、長ければ6〜7年も生き続けます。
また飢えにはめっぽう強くて、絶食状態でも1年くらいは生きられます。

 

普段は掃除の行き届かない薄暗い部屋や倉庫などを好んでひっそりと生息していますが、条件がそろうと多発生を引き起こしますので要注意です。

 

シミはその扁平な形態と暗所を好む性質から、包装資材の隙間に潜り込むことが多く、混入事故につながることも少なくありません。

 

昆虫モニタリングでは、床置き粘着トラップに1頭見つかると、他にも多数捕獲される傾向があります。
特にシミの幼虫は集団で捕獲されやすいです。

 

シミの防除には、潜伏しやすい場所や餌となる塵埃の除去など、生息防止のための環境造りが中心となります。
工場内では隙間やクラック(裂け目、ひび割れ)などの閉塞、整理整頓、防虫清掃の徹底が、一般家庭では換気や日光消毒などが効果的です。
殺虫剤を使用する場合は、床面やクラックに残効処理することで効果が期待できます。

 


シミの食事シーンです。食パンをかじっています。


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