昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

タマバエ

タマバエ

タマバエはハエ目タマバエ科に属するコバエの総称で、現在約180種が知られています。
昔はタマカと呼ばれていました。

 

タマバエの成虫は微小で非常に繊細な感じがします。
頭部が小さく、触角が細長くて数珠状、翅に微毛が密生していて翅脈は少ない、などの特徴があります。

 

一見、ユスリカクロバネキノコバエに似ていますので、粘着式のライトトラップに捕獲された場合は、見分けるのが少し難しいかもしれません。
タマバエには脚の脛節の先端に距棘がないため、このポイントでクロバネキノコバエとは区別できますが、触角と翅脈をしっかりと観察することで十分判別可能です。

 

いっぽう幼虫は、円柱状で、白色、黄色、赤色などをしています。
蛹にもちゃんと触角があります。

 

タマバエとは、玉のような虫こぶ(gall)を作るハエというところからその名が付きました。

 

確かに植物の葉や茎、花、実などに虫こぶや葉巻を作り、植物を加害する種が多いので、農業害虫としてもよく知られているのですが、その他にも、食菌性(腐食性)や捕食性のものがいます。
食菌性(腐食性)の種は、腐敗した植物や樹皮、枯木、キノコなどを食べ、捕食性の種は、アブラムシやカイガラムシ、ダニなどを捕食します。

 

食品工場等で問題となるのは、主に食菌性の種がほとんどで、このグループは落葉や枯草、朽木などから発生しますので、普段は田畑や雑草地、雑木林などでよく見られます。

 

多数の成虫が群飛し、灯火に誘引され、あるいは建物内外の差圧によって工場内に侵入します。
ちなみにタマバエは、ユスリカやクロバネキノコバエと同様、光によく誘引され、飛翔力も強くないため、工場を診断する際の「光漏れの指標」、「間隙(バリア性、防御力)の指標」、「室間差圧の指標」になります。

 

工場に侵入した成虫は1〜2日で死にますが、寿命が尽きるまで産卵するため、餌や温湿度などの条件が揃うと内部でも発生が可能です。

 

タマバエは外部侵入型の昆虫ですが、内部発生できることは意外と知られていません。

 

例えば、雨漏りや漏水、結露などによって腐った木製パレットや、窓や扉の木枠、下駄箱、天井裏(木材使用部)などが発生源となることがあります。

 

タマバエの防除は、外部での発生源対策による効果がほとんど期待できないため、成虫対策がメインとなります。
工場等の施設では、他のコバエ類と同様に侵入防止対策が最も効果的です。

 

侵入防止対策には、製造室の2重構造、エアシャワー室の設置、エアカーテンや防虫カーテンの設置、間仕切りや防虫ブラシによる隔離・遮断、隙間埋めなど、様々な方策があります。
いくつかの手法を上手く組み合わせると、相乗効果によりさらにタマバエなどコバエの飛来侵入を抑制することができます。

 

昆虫管理の基本は、(工場敷地内で)発生させない、(工場に)近づけない、(工場に)入れない、(工場内に入ったら)すぐに捕殺する、です。

 

もし、多数のタマバエが工場内に侵入してしまったら、充填や包装といった重要なエリアに移動してしまうまでにライトトラップ等で捕殺してください。
前室のような空間を有効利用し、それ以上内部に行かせないのが、外部侵入型の飛翔性昆虫による異物混入事故を低減させるコツです。

 


タマバエの一種の産卵シーンです。

タマバエ対策


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