コクゾウムシ
コクゾウムシは、コウチュウ目オサゾウムシ科に属する甲虫の一種です。
ただし、コウチュウ目オサゾウムシ科に属する甲虫のうち、主にイネ科穀物を加害するゾウムシを総じてコクゾウムシという場合もあります。
コクゾウムシの中で、特にコクゾウムシ(コクゾウ)(Sitophilus zeamais)、ココクゾウムシ(ココクゾウ)(Sitophilus oryzae)、グラナリアコクゾウムシ(グラナリアコクゾウ)(Sitophilus granarius)の3種は、米、麦、トウモロコシなどの世界的な大害虫です。
ここでは、日本で最も問題となるコクゾウムシについて説明します。
コクゾウムシ成虫の体長は2.3〜3.5mm、体色は褐色ないし濃褐色で、口が長く伸び、先端に丈夫な歯を持っています。
幼虫は、穀粒の内部にいるためあまり目にすることはありませんが、白いウジ状です。
成虫・幼虫ともに穀粒を好んで食害し、日本では米につく害虫として少なくとも江戸時代から知られていました。ちなみにアメリカではトウモロコシの大害虫として知られています。
成虫は、穀粒にその長い口で穴を開け、産卵し、幼虫は穀粒の内部を食べながら成長し、内部を空洞にします。そして、内部で蛹になり、最終的に成虫となって穀粒から出てきます。このように、幼虫は穀物の内部から、成虫は外部からさかんに食害するので、穀物は壊れやすくなり、コクヌストモドキやヒラタムシなどの二次性害虫(secondary pest)の発生を促進します。
本種は米の伝来とともに日本にやってきたと考えられていましたが、実は稲作が始まる前から日本にいたらしく、その頃はクリやドングリのような堅果類を食べていたということです。また米だけではなく干し芋の大害虫だったこともあります。
コクゾウムシは、米穀類の害虫なので屋内にしかいないと思われがちですが、実は野外でも普通に発見されます。5〜6月には越冬した成虫が野外で餌を求めて移動しているのが見られますし、秋から初冬には越冬する場所を求めて建物の近くを徘徊しているのが見られます。成虫は、野外の建物周辺の石や倒木などの下で越冬することが知られています。
コクゾウムシは精米工場や穀物貯蔵庫などで大発生し、米に異物として混入することが多いため、日頃からしっかりと動態を調べ、多発生しないよう防除しましょう。
コクゾウムシのモニタリングにはフェロモントラップが使用可能です。
コクゾウムシです。
コクゾウムシ対策