昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

コクヌストモドキ

コクヌストモドキ

異物混入,防虫管理,内部発生昆虫,生態,防除

 

コクヌストモドキはコウチュウ目ゴミムシダマシ科に属する甲虫の一種、あるいはそれに近縁な種群を指します。
コクヌストモドキの仲間は、食品害虫としてよく知られています。

 

日本におけるコクヌストモドキの仲間としては、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)とヒラタコクヌストモドキ(Tribolium confusum)の2種が最も普通で、稀にカシミールコクヌストモドキ(Tribolium freemani)やヒメコクヌストモドキ(Palorus ratzeburgi)、オオツノコクヌストモドキ(Gnathocerus cornutus)などが見つかります。

 

日本で見られるコクヌストモドキのグループは、全体的に茶褐色で、体長が2.5〜6mm程の細長い甲虫です。

 

ここでは国内の食品関連工場や倉庫でよく問題となるコクヌストモドキとヒラタコクヌストモドキについて説明します。

 

コクヌストモドキの成虫は体長3〜4mm、全体的に茶褐色〜暗赤褐色で、かすかな光沢があります。
頭部は扁平で、側面から見ると複眼の前方が湾入しており、触角の先端3節が膨大するのが特徴です。

 

コクヌストモドキは小麦や糠、ふすまなどの穀粉や菓子、パン類、粉ミルクなど様々な加工食品を加害します。
寒さに弱く、製粉工場や精麦工場では粉で汚れたモーターの下など、少し暖かい場所に集まって越冬していることが多いです。野外では樹皮下などで越冬することが知られています。

 

本種は飛翔しますので、歩行できない場所へも飛来侵入して繁殖することが可能です。非常に珍しいことですが、稀にライトトラップにも捕獲されます。

 

次にヒラタコクヌストモドキですが、本種は姿形がコクヌストモドキと非常によく似ています。
ですが、お互いを区別するポイントがいくつかあります。例えば、触角です。コクヌストモドキの触角が、先端3節のみ大きくなっているのに対して、ヒラタコクヌストモドキの触角は各節が先端に向かって徐々に大きくなっています。
また、頭部を腹面から見ると、ヒラタコクヌストモドキはコクヌストモドキよりも複眼間の距離が広くなっています。つまり、ヒラタコクヌストモドキの方が、眼が小さいような印象を受けます。

 

ヒラタコクヌストモドキはコクヌストモドキと違って飛翔能力がありません。また、コクヌストモドキよりも冷涼な地域に多いです。

 

これら2種のコクヌストモドキは、製粉工場や飼料工場、精米工場などに多いですが、一般住宅でも見つかります。
こういった工場では、特に機械内部やC型綱などの粉溜まりから大量に見つかることがあるため、防除のためには粉溜まりの除去(清掃)が必要です。清掃によって粉を除去せずに殺虫施工を行うことがありますが、これでは効果はほとんど見込めません。コクヌストモドキなどの貯穀害虫対策として殺虫施工を行う場合は、必ず先に除粉を行ってから行うようにしましょう。

 

コクヌストモドキの仲間は、貯穀害虫の中で最も普通に見られる昆虫ですので、食品等の製品に混入する事故は比較的多いです。これらによる異物混入問題を防ぐためには施設内での大量発生を防ぐことが重要です。

 

コクヌストモドキの発生を早期に把握するためにはフェロモントラップによる監視が効果的です。

 


コクヌストモドキです。


コクヌストモドキ対策


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