ヒラタムシ(ノコギリヒラタムシなど)
ヒラタムシは、コウチュウ目ヒラタムシ科(チビヒラタムシ科)やホソヒラタムシ科に属する甲虫の総称です。
ヒラタムシのグループは、野外では倒木の樹皮下や朽木などで見られますが、一部は穀紛などの食品害虫として知られており、しばしば一般家屋や食品工場などで発生することがあります。
食品害虫として知られているヒラタムシは、体長が4mm以下の小型種が多いです。
ヒラタムシの中で、最も問題になるのがノコギリヒラタムシ(ノコギリホソヒラタムシ)(Oryzaephilus surinamensis)です。
本種は、ホソヒラタムシ科に属する甲虫で、成虫の体長は2.5〜3.5mm、褐色ないし黄褐色で、細長く扁平です。
前胸背は幅より長く、側縁に6個の鋸歯状突起を備えるため、背中がノコギリの歯のようにギザギザしているのが特徴です。
飛翔はしませんが歩行が速く、よじ登る能力も優れているため移動分散能力は意外と高いです。
幼虫の体長は約4mmで、体色は乳白色ないし黄白色です。
穀紛、菓子、干肉、乾果、乾燥椎茸などを食害しますが、こういった食品に生じたカビや酵母も食べていると考えられています。また、他の昆虫を捕食することもあるようです。
ちなみに本種は、一次性害虫(primary pest)が健全粒を破砕した際に生じた粉や破片を加害する二次性害虫(secondary pest)です。粒のままの穀粒では胚芽部分を好んで食べます。
ノコギリヒラタムシは製粉工場や製パン工場など、粉を扱う事業所での発見頻度が高いです。高温を好みますが、寒さや乾燥にも強いため様々な現場で問題となっています。
本種が発生したら、清掃により餌となる食品を確実に除去した上で、必要があれば殺虫処理を行ってください。清掃をせずに殺虫を行っても効果がほとんどない場合がありますので、気を付けてください。
近年、本種に対してリン化水素が効かなくなってきているという話をよく聞きます。単に燻蒸時にしっかりと養生をしていないことや暴露時間が短いことなどが原因かもしれませんが、もしかすると実際にリン化水素に対する抵抗性を獲得してしまっている可能性もあります。食品害虫に対して燻蒸を行う際は、その手法を再度確認し、確実に止めを刺すように心掛けてください。害虫が一度抵抗性を発達させてしまうと、非常に厄介なことになります。
ノコギリヒラタムシの発生を監視するためには、フェロモントラップがお勧めです。
本種以外で食品工場等でよく問題となるヒラタムシとしては、オオメノコギリヒラタムシ(オオメノコギリホソヒラタムシ)(Oryzaephilus mercator)、カドコブホソヒラタムシ(Ahasverus advena)、フタトゲホソヒラタムシ(Silvanus bidentatus)、カクムネヒラタムシ(カクムネチビヒラタムシ)(Cryptolestes pusillus)、ハウカクムネヒラタムシ(ハウカクムネチビヒラタムシ)(Cryptolestes pusilloides)、サビカクムネヒラタムシ(サビカクムネチビヒラタムシ)(Cryptolestes ferrugineus)、トルコカクムネヒラタムシ(トルコカクムネチビヒラタムシ)(Cryptolestes turcicus)などがいます。
ノコギリヒラタムシです。
ヒラタムシ(チビヒラタムシ)の一種です。
ノコギリヒラタムシ対策