昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

トビムシ

トビムシ

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トビムシは、トビムシ目(粘管目)に属する昆虫の総称です。

 

トビムシは小型で翅を欠くため飛翔することはできませんが、腹部第4節に跳躍器(叉状器)があり、危険が迫った際などに跳ねることができます。
工場でよく見られるトビムシは、アヤトビムシ科やマルトビムシ科、ムラサキトビムシ科などで体長1〜3mm程のものが多いです。

 

生息圏は多様で、地球上の至る所に生息しており(南極大陸でも確認されている)、通常は落ち葉の下や土壌中などで腐植質や真菌類を食べて生活しています。ちなみに日本の普通の森林には4万〜10万個体/uのトビムシが生息していると言われています。

 

従って、工場内で実施しているモニタリング調査時にトビムシが捕獲された場合、まずは外部からの侵入(歩行侵入や付着侵入)を疑わなければなりません。

 

しかし、もし床置き式粘着トラップにトビムシが大量に捕獲されたら、内部で発生している可能性も考える必要があります。
トビムシは繁殖力が強いので、餌や温湿度など好適な環境条件さえ整えば工場内でも大量に発生することができるのです。

 

トビムシは暗くて湿気の多い場所を好みますので、水をよく使うために常時床が濡れているような食品工場は要注意です。
もしトビムシが大量に捕獲された場合は、床や壁などにできた亀裂や隙間、消火栓格納箱や配電盤の中、土砂が堆積したコーナー部、C形鋼の中、水はけの悪い側溝、機械の内部などを確認してみて下さい。
トビムシが内部で大量に生息していると、今度はそれを餌にする捕食性の昆虫(アリなど)が二次的に発生することもあります。

 

食品工場だけでなく、医薬品工場や包装資材工場でも外部との区別がつきにくい倉庫(テント倉庫など)や空調機械室、電気室などでの多発生が過去に知られています。
季節的には梅雨から夏にかけて多くなる傾向があるようです。

 

工場の周りでトビムシが大量に発生している場合、殺虫処理と発生源の除去、侵入防止が基本的な対策となります。

 

発生や生息している場所がわかる場合は、そこにピレスロイド系殺虫剤液剤を散布します。
トビムシは殺虫剤に弱いため、比較的薄めの液剤でもすぐに効果が出ます。
また、その他に発生が疑われる場所があったら残留処理をしておくと良いでしょう。

 

発生源(生息源)対策も行うと、より効果的です。
工場敷地内の緑地帯や植栽に堆積した落ち葉や朽木は餌場と潜伏場所になるため定期的に清掃して除去します。
トビムシは日光や乾燥した場所を嫌うので、極力物は置かずに整理整頓し、常に風通しを良くしておくことも重要です。

 

侵入防止対策としてはシールトラップが有効です。
使用していない扉(搬出入口など)やシャッターには周囲(上下左右)と観音開きの扉の場合は真ん中を養生テープなどで塞いでおくとトビムシやタカラダニは入れません。
また、シールトラップを定期的に取り換えることでトビムシなどの動態を確認するのに役立ちます。
トビムシは意外と壁面を登ることができますので、扉やシャッターの下部だけでなく、必ずサイド(左右)や上部もシールするようにしましょう。

 

稀にトビムシが結構高い位置に設置されたライトトラップに捕獲されることがあります。
風に乗じたのか、上から落下したのか、下から登っていったのか、なぜ飛べないトビムシがライトトラップに捕獲されるのか本当の理由はよくわかりませんが、そのエリアにおけるトビムシの生息密度を推し量るための判断材料にはなりそうです。


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