昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

屋内性クモ

屋内性クモ

異物混入,防虫管理,内部発生昆虫,生態,防除

 

クモは節足動物門クモ綱に属しています。
クモはダニに近縁で、頭胸部と腹部から成り、脚は4対(8本)あります。
眼は全て単眼で、4対(つまり8眼)のものが多いですが、0〜3対のものもあります。
一般に雄は小さくて雌は大きいです。

 

様々な種を含み、世界では4万種程、日本では千種以上が記載されていますが、そのうち屋内に生息するものは非常に限られています。
一般家庭や工場等でよく問題となるクモ種は、せいぜい20種ほどです。
工場で問題となるクモの種類についてはこちらをご覧ください。

 

昆虫と同様にクモも種によって生態が異なります。
クモの生態は大きく、網形成の有無(造網性、非造網性)、待ち伏せ型か狩猟に出るか(点座性、徘徊性)、生息場所(地中性、地表性、空中性、水中性、洞穴性、樹幹性)などに分けられます。

 

屋内性のクモも種によって生態が異なります。
例えば、徘徊性のクモは工場や倉庫を徘徊し製品に混入することがありますし、造網性のクモは製品やお店のディスプレイなどに網を張って見栄えを悪くします。

 

クモは肉食性で主に昆虫を捕食するので、基本的に益虫と考えられていますが、製品への混入事故をよく引き起こします。
従って、工場等で昆虫類のモニタリングを行う際は、クモもしっかりと監視する必要があります。
ちなみにクモ由来の混入異物には、クモの体や脚の他に、脱皮殻や巣の一部などが含まれます。稀ですがクモの糞が問題になることもあります。

 

クモは工場等の製造環境内に存在している昆虫類の個体数を計る指標となります。
クモは昆虫類を餌として生活しているため、クモが多いということは餌となる昆虫類の生息個体数も多いと言えるのです。

 

一方、クモの巣は清掃状態の指標になります。
製造環境内にクモの巣がたくさんあると、清掃方法や頻度に問題があると見なされ、監査や査察の際に良い印象を与えません。

 

クモの巣を放置するとクモの駆除を実施しても増減がわからないというデメリットがあります。
日頃からクモの巣がない状態を保っておけば、新たに造網性のクモが侵入した際にすぐにわかります。

 

最近はクモが巣を張るのを嫌がる薬剤なども販売されていますので、そういった薬剤をクモが巣を張ると困る場所にスプレーしておくと良いでしょう。

 

実際に、工場内で防虫モニタリングを実施すると、クモは床置き式粘着トラップによく捕獲されます。
クリーンルームのような清浄度の高いエリアでも捕獲されることがありますが、このような場合、クモはクリーンルーム内に潜むチャタテムシヒメマキムシチョウバエなどの微小昆虫を捕食していることが多いです。
また、屋内性のクモは年間を通して活動している種が多いので、冬場でも多数トラップに捕獲されることがあります。冬だからと言って気を抜かないようにしましょう。

 

クモは大抵の昆虫よりも長生きです。また飢餓にも強く、餌や水が無くても長期間生きることができます。
消費者宅で製品から発見されたクモが、製造日から随分経つのに発見時にまだ生きていたとしても安易に消費者宅で混入したと結論付けてはなりません。
(種にもよりますが)クモは1〜3か月くらいなら無餌無水状態で生存できる可能性があるからです。

 

クモ対策でよく言われるのは、クモは昆虫の天敵であるため駆除する必要はないということです。
しかし、個体数が増加し、異物混入や衛生面、見栄えの問題などから駆除する必要に迫られる可能性は十分に考えられます。
クモは弱い生き物なので低濃度の殺虫剤でもすぐに死にます。つまりクモの駆除は比較的簡単なのですが、その際に気を付けなければならないのはリサージェンスです。

 

クモは殺虫剤に対する感受性が高いので、生息環境に薬剤処理した場合、昆虫よりも先に死滅する傾向があります。
このため、殺虫剤散布によってリサージェンスが起きることがあるのです。
クモは全滅したけれど他の昆虫が大発生してしまった・・・ということにならないように注意しましょう。

 

最近はクモ用のエアゾール剤がホームセンターやインターネットショップなどで簡単に手に入ります。

 


アシダカグモがクロゴキブリを捕獲するところが見られます。


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