昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

ヒメマキムシ

ヒメマキムシ

異物混入,防虫管理,内部発生昆虫,生態,防除

 

ヒメマキムシ科は世界各地に分布しますが、特に熱帯よりも温帯から多く記録され、約500種が知られています。
日本産の種でもヨーロッパや北アメリカなどに分布するものが少なくないです。

 

ヒメマキムシは成虫・幼虫ともに体が非常に小さく、多くの種が1〜2mmです。
成虫は、触角の先端2〜3節が大きく膨らむ、上翅に条や点刻を持つ、脚のふ節は前脚、中脚、後脚ともに4節からなる、などの特徴を持ちます。
モニタリングトラップの同定の際、慣れないとゴミムシホソヒラタムシなどの微小甲虫類と混同されがちですが、ヒメマキムシはそれらよりもさらに小さいです。
体長が2mm以下であればほぼ間違いなくヒメマキムシですので、体サイズを一つの判断材料として下さい。

 

一方、幼虫の体は白色で、尾突起がないのが特徴です。
ただし、カビの中に埋もれていることが多いので、肉眼で発見するのは非常に困難です。

 

ヒメマキムシは成虫・幼虫ともに食菌性ですので、野外では枯れ木や枯れた果実、干し草などのカビから見出されます。
キノコや落葉、動物や鳥などの巣からも見つかることがあります。

 

しかし、中にはカビを好む種もあり、それらは屋内で発生可能です。
屋内で発生し、食品等の製品に混入する可能性があるのは、ムナビロヒメマキムシ、クビレヒメマキムシ、ユウレイヒメマキムシ、ヒメマキムシ、スジダカヒメマキムシ、ムネアカヒメマキムシなど約20種が知られています。
食品工場や医薬品工場などで問題となる頻度が最も高いのは、ムナビロヒメマキムシが断トツでトップです。
天井裏や倉庫などで多発生する事例が後を絶たず、特に倉庫で保管していた製品への混入事故が多いです。
また、以前はそれほどでもなかったのですが、最近はユウレイヒメマキムシによる混入事例も増えてきました。

 

一般住宅ではクビレヒメマキムシによる被害もよく見られます。
これは梅雨のころ、壁紙やしっくい、畳、押し入れなどに生じたカビに発生することが多いです。
古い家屋だけでなく新築家屋やリフォーム直後に発生する場合もありますので注意が必要です。

 

ヒメマキムシが屋内に発生する原因としては、屋外から侵入したものがカビを食べて繁殖する場合と、段ボールやパレットに付着して運び込まれたものが繁殖する場合とがあります。

 

ヒメマキムシは食品工場で発生しやすいですが、食品とは無関係な工場や倉庫でもしばしば大発生します。
これらの施設では年間を通して室温が一定に保たれていることが多いため、繁殖に適した温度であれば冬でも発生可能となります。

 

工場や倉庫で発生しやすい場所の一つに、コンクリートの床に長期間放置されたパレットが挙げられます。
パレットの裏面に蔓延したカビは気付かれないことが多く、ヒメマキムシはそこで誰にも邪魔されることなく順調に繁殖します。
密度が高くなり過ぎると発生源であるパレットから成虫が出てきますので、それで始めて気付くことも多いです。
しかし、その時はすでにヒメマキムシが大発生した後ですので、その駆除に時間と労力を費やすことになります。

 

ヒメマキムシの防除は、チャタテムシと同様、カビ対策の一言に尽きます。
従って、普段から乾燥・通風を心掛け、清掃を徹底し、清潔な状態を保つことが肝要です。
カビが発生した場合は、カビ取り剤でカビを除去した後、防カビ施工を行います。
建築の際に防カビ処理をしておくと最初の発生は防ぐことができます。

 

木製パレットや古くなったパレットはカビが生えやすく、食菌性昆虫類が付きやすいので極力控えるようにしましょう。
パレットの置き方や置き場所を工夫したり、パレットに対して残効性の高い殺虫剤を処理しておくことも有効です。



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