昆虫の生態を知って防除に役立てよう!

フンコバエ(ハヤトビバエ)

フンコバエ(ハヤトビバエ)

異物混入,防虫管理,内部発生昆虫,生態,防除

 

フンコバエは、ハエ目フンコバエ科に属するコバエの総称です。
以前はハヤトビバエ(ハエ目ハヤトビバエ科)と呼ばれていたのですが、このグループのコバエは特段速く飛ぶこともなく、名が特徴に合致していないということで改められました。新和名のフンコバエは、英名のlesser dung fly(small dung fly)からきています。dungは糞のことです。

 

成虫の体長は1〜5mmのものが多く、体色は全体的に黒っぽいものが多いです。大型のものは5mmを超えるものもいますし、黄色や赤褐色の帯や斑紋がある種もいます。
食品工場などでよく問題となるのは、ススバネフンコバエ(1〜2mm)やフサヒゲフンコバエ(3〜4mm)などの小さいサイズのものです。

 

ライトトラップの捕虫紙に捕獲されたフンコバエは、一見他のコバエと見間違いそうになるかもしれませんが、後脚ふ節の第1節が他の節と比べて幅広く短いことで容易に区別ができます。また捕虫紙上のフンコバエは、がに股で、まるでつぶれたカエルのようになって付着しているのも特徴と言えます。

 

幼虫は一般に森林や草地、湿地、海岸、洞窟など様々な場所で動植物性腐敗物や動物糞などを食べて生活しています。
工場内では、天井裏や床下のネズミやイタチなど小動物の糞や死骸、大量に堆積したハトの糞やその死骸、浄化槽のスカム、排水溝に堆積した食品残滓などから発生することがあります。

 

浄化槽がしっかりと機能してスカムが全くない状態だと、コバエの発生はほとんどありません。ただし、この状態の場合、チカイエカという蚊が大量発生することがあります。
浄化槽の機能が少し落ちてスカムが溜まり始めるとチョウバエが発生し始めます。チョウバエは浄化槽の表面に水が見えている状態、つまりスカムが表面全体を覆っておらず、流氷のように水に浮いているような状態のときに最も多いです。
そして浄化槽が機能しなくなり、スカムの堆積が厚みを増してくるとノミバエやフンコバエが発生します。これらのコバエは浄化槽の表面に水は全く見えず、スカムが全面を覆い、乾燥し始めてやや硬くなった状態を好むようです。こうなるとチョウバエは姿を消します。

 

成虫は通常春から初夏にかけて最も多くなりますが、工場等で実施している防虫モニタリングではこの限りではありません。上に挙げたように条件さえ整えば内部でも突然多発生することがあるからです。
また、海岸で魚介類の死骸から発生した種が付近の食品工場に飛来することがありますが、この場合、飛来は春から秋まで続きます。
海岸付近に立地した食品工場や水産加工工場などはフンコバエやハマベバエなどの飛来によく悩まされています。

 

フンコバエは他のコバエと同様に光によく誘引されます。また、発生源からあまり離れずにその付近に群れる性質を持ちます。
従って、ライトトラップで同一種のフンコバエが多数捕獲された場合は、その付近に発生源がある可能性が高いと考えられます。

 

フンコバエは、体が小さいためわずかな隙間からでも工場内に侵入してきます。網戸やサッシ窓も余裕で通過します。
対策としては、前室の設置およびその有効利用、エアシャワー室の設置、ウィンドウレス化、エアカーテン防虫カーテンの設置、間仕切りや防虫ブラシによる隔離・遮断、隙間埋め…などの侵入防止対策を行います。
また、工場から漏れる紫外線の遮断やライトトラップによる早期捕殺…などのライトコントロールも有効です。
これらの対策によって外部から飛来する個体数をかなりり減らすことができますが、まだ製品への混入が懸念される場合は、充填工程や包装工程をクリーンブース内で行うのが良いでしょう。

 


フンコバエの一種です。


フンコバエ対策


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