コオロギ・カマドウマなど
バッタ目の中で、建物内でよく問題となるのはコオロギやカマドウマなどの褐色の昆虫です。
同じグループのバッタやキリギリスなど緑色をした昆虫は、あまり屋内では問題となりません。
カマドウマは、バッタ目カマドウマ科に属する昆虫の総称です。
便所コオロギやエビスグモなど、地方では様々な俗称で呼ばれているようです。
カマドウマ科には、マダラカマドウマ、クラズミウマなどがいます。
カマドウマは、体長の数倍もある長い触角と跳躍に適した長い後脚を持ち、翅がなく湾曲した体形をしています。
眼は退化し、明暗を感じるだけですが、それをこの長い触角が補っています。
普通種のマダラカマドウマは体長20mm程で、淡褐色の地に暗褐色の斑模様が体と脚に存在します。
繁殖時期は特に決まっていませんが、幼虫あるいは成虫で越冬し、春に産卵することが多いようです。
食性は雑食性で、植物質の残渣や昆虫の死骸などを食べていると考えられています。
また、オートミールに集まることが知られています。
カマドウマは夜行性で、暗くてジメジメした涼しい場所(洞穴、地下室、側溝やピット、木の洞や根元、石の下など)に生活しています。
一般住宅では、夜間にトイレや風呂場、押し入れなどに出現する不気味な昆虫とされていますが、特に実害はありません。
工場や倉庫では、時季によってはモニタリング用の床置き式粘着トラップで多数捕獲されることがあります。
工場内部で定着し、発生を繰り返すことは滅多にないですが、物置、動力室、ポンプ室、階段の下、内壁、床下、地下ピットなどに生息している個体が夜になって出てくるということはあります。
カマドウマの長い脚は取れやすく、これが製品に混入することがあります。
コオロギは、コオロギ亜科に属するもので、日本では約40種が知られています。
雌は秋に産卵し、卵で越冬し、4〜5月頃に孵化します。
その後、10回の脱皮を経て9月頃成虫になります。
一化性のものが多いですが、種によっては幼虫越冬型や卵越冬型の二化性、幼虫越冬型の一化性など、様々な生態型があります。
工場や倉庫には8〜9月頃に侵入してくることが多く、この時期は床置きトラップでもよく捕獲されます。
床置きトラップに捕獲されたコオロギやカマドウマは非常に臭いです。
また、トラップ上でカツオブシムシの幼虫に食害されていることが多いです。
その他のバッタ目で、工場等に歩行侵入してくる昆虫にはケラがいます。
ケラは芝生などから迷入してきますが、個体数はそれほど多くありません。
床下にカマドウマが生息している様子です。
コオロギ・カマドウマなど関連書籍