イエバエ
ハエ目イエバエ科に属するハエの総称を指す場合もあるのですが、実際にイエバエ(Musca domestica)という種がいます。
ここでは、この種としてのイエバエについて話を進めます。
イエバエは世界中で見られるハエで、人家内に入る習性が強く、英語でもhouse flyと言います。
成虫の体長は、6〜8mmで全体的に灰〜黒褐色、胸部背面に4本の明瞭な黒い縞模様があり、腹部の基部に黄色い部分があるのが特徴です。
幼虫は乳白色の細い蛆(ウジ)で、畜舎の敷き藁や糞、堆肥、厨芥などが主な発生源となります。
昔は農村や畜舎、ゴミ処理施設などで大発生することがよくありました。
便池のニクバエ幼虫と異なり、イエバエ幼虫は堆肥や厨芥の中に潜って人の目に触れにくいので、注意を要します。
成長スピードは速く、卵から成虫まで2週間あれば十分です。
また、成虫の寿命は1か月程で、死ぬまでに4〜5回産卵し、50〜150個の卵を産みます。
南日本に多く、九州では人家内におけるハエ数の90%以上を占めます。
本州における成虫の最盛期は、地域によって若干の差はありますが5〜6月と10〜11月です。
これが北海道だと7〜8月頃になります。ただし、北海道では数は少ないです。
冬場でも様々なステージが確認されますが、基本的に成虫で越冬し、春から晩秋まで発生を繰り返します。
食品工場をはじめとする各種製造工場は常時放熱しているため一年中暖かいです。
寒くなると多数のイエバエが暖を求めてそのような工場に飛来することがあります。
このようにイエバエは臭気だけではなく熱にも誘引されるので、近くに畜舎や鶏舎があるような工場はそちらからの飛来に特に注意する必要があります。
イエバエは飛翔力がありますので、1km先からでも飛んできます。
イエバエの一種の食事シーンです。
イエバエが卵から成虫になるまでを早送りにした動画です。
イエバエ対策