なぜカビは嫌がられるのか?

カビによる被害

カビによる被害

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食品工場や飲食店など、食物を扱う作業場では菌や黴(カビ)などの管理は絶対に欠かせません。

 

防菌防黴(ぼうきんぼうばい)とは読んで字のごとく、菌やカビを防ぐということですが、細かく言うと「微生物、特に細菌、真菌の発生・発育を防止し、それらに起因するあらゆる加害を未然に防止または回避することにより、最終的には人間生活をより健全且つ豊かなものとする目的を持つ一連の技術(手法)を代表する用語」となります。

 

最近は、これに替わって微生物制御という用語が広く用いられるようになってきていますが、その基本技術となるものとも言えます。

 

食品工場等の防菌防黴と言えば、主な業務は一般環境微生物管理(「一般」が省略される場合もあります)です。
ちなみに、この一般環境微生物とは各種食中毒原因菌や腐敗変敗菌などの微生物を指しますが、今回は防虫と言う観点からチャタテムシヒメマキムシといった食菌性昆虫とも大いに関係のある真菌(カビ)とカビによる被害の解説をします。

 

カビによる一般的な被害は、「健康上の被害」と「経済面の被害」とに大別できます。

 

1. 健康上の被害
健康上の被害に関しては、食品、医薬品、添加物など消費者の口に入るものを製造している全ての工場や店舗が対象となります。
これについての問題は実際には医学・医療の分野となるのですが、工場の衛生管理担当者もカビについての一般的な情報は基礎知識として知っておく必要があります。

 

カビが原因となって起こる疾病には真菌症(真菌感染症)、真菌過敏症(真菌アレルギー症)、カビ毒マイコトキシン)中毒症があります。
ちなみに、この「真菌」というのは菌界(Fungi)に属する生物の総称で、一般にキノコ・カビ・酵母と呼ばれる生物が含まれます。

 

2. 経済面での被害
1) 食品・農作物の被害
人間の病気は細菌やウイルスによるものが多いのに対し、農作物の病気はカビによるものが意外と多いです。
これは圃場での生育期間中および収穫後(市場病害など)の如何によらず同様に見られます。

 

農作物の病原菌は、農作物が食品原料となるものであるだけに、食品のカビ被害および食品工場の環境汚染に直結するものとして非常に重要です。
食品のカビ被害において、主要なものとしては製品加工時の食品加工原料での減耗と食品における品質の劣化が挙げられます。
加えてカビ毒(マイコトキシン)による被害も食品の被害として重要です。

 

2) 建築物の被害
建築物におけるカビの被害は、柱・床材など木質構造材の被害と各種の内外装建築資材の被害に大別されます。
木質構造材の被害とは、その多くが担子菌である木造腐朽菌による材質劣化だと言え、内外装材の被害とは、比較的表面性のいわゆるカビによる外観の損傷、変形、材質の劣化だと言えます。

 

3) 工業製品の被害
工業製品の被害は、貧栄養・低水分下において増殖が可能なカビの生態特性の結果として発生する被害の代表例だと言えます。
工業製品におけるカビの被害は、工業製品の原材料自体を栄養源としてカビが増殖する場合の他に、工業製品の表面に付着したその製品の取扱者による汚れや垢、埃などを栄養源としてカビが発生し、外観の損傷による商品価値の低下や部品材質の劣化、絶縁不良などの機能障害を発生させることがあります。

 

このように見てみると、経済面における被害のほとんどは、カビによる食品(製品)の劣化が原因だと言えそうです。

 

しかし、実際に食品工場などで問題となるカビ被害は、カビそのものによる食品(製品)への直接的な汚染と、製造環境でのカビ発生後に起こる食菌性昆虫の大量発生(二次被害)に尽きます。
これらは異物混入対策としては見落とせない点です。



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