工場内へのネズミの侵入を阻止するには
いったんネズミが工場内に入ってしまうと、駆除するのは非常に厄介です。
ですので、まずはネズミを工場内に入れないことを考えましょう。
そこで有効なのが防鼠構造です。
ここではこの防鼠構造について説明したいと思います。
防鼠構造を簡単に言うと、ネズミを予防する、つまりネズミを建物内に侵入させないための構造のことです。
ネズミの侵入に対して最も重要な箇所は排水口です。
排水口には必ずグリルを付けるようにします。
このとき、グリルの目の間隙は、8mm以下にしなければなりません。
この幅が家鼠の中で最も小さいハツカネズミ幼獣をも通さないサイズだからです。
ただ、食品工場等でこの構造を採用すると物が詰まり易くなります。
その場合は、グリルまでの途中に網目サイズの異なるカゴを3つほど設ける段階的構造にすると良いです。
カゴの網目サイズは、例えば10mm、7mm、5mmといった具合にすると、食物残滓を段階的にカゴで受けるためにグリルが詰まりにくくなります。
排水口の他にも、建物外壁のわずかな隙間からネズミは侵入してきます。
ネズミの侵入経路としてよく知られているのは下記の箇所です。
・基礎(基礎、床下換気口)
・床面
・側壁(二重壁)
・扉
・窓(1階、2階以上、天窓)
・吸排気口
・避雷針
・波板屋根(波板スレート・鉄板と軒の接合部)
・水洗便器
・下水道
・設備諸管(壁・天井・床に開けた給排水管・ガス管・電線等のための穴)
・陳列台
・調度品
など
基礎壁の壁脚の長さは60cm以上にしなければなりません。
床下換気口には、網目サイズが8mm以下の金属の網を入れる必要があります。
床のコンクリートの厚さは10cm以上にします。
二重壁と基礎壁の接合部には横架材を入れます。
扉は枠に密着させ、自動開閉装置を付けるのが望ましいです。
また、扉の外面から敷居の端までの距離は15cm以上にします。
窓は1階と2階以上とで基準が異なります。
1階の窓の場合、窓の下端から地上までの距離は90cm以上にします。
(ドブネズミの跳躍力は約1mですが、防鼠構造は90cm以上となります。ちなみにドブネズミは1.5mの幅を飛び越えます。)
窓の下端に25cm以上の張り出しを付けます。
地階や1階の窓外縁には金属網を付けます。
目はもちろん8mm以下です。
2階以上の窓のすぐ近くに、木の枝、電線、隣の建物がある場合には、外縁に格子を入れます。
これらの物との距離は250cm以上離れていることが望ましいです。
天窓には8mm以下の網目サイズの金属網格子を付けます。
吸排気口には自動開閉シャッターを入れます。
また、ここにも8mm以下の金属網を付けます。
波型スレート・鉄板と軒との接点はモルタル等で密閉します。
水洗便器トラップから下水道に通じる排水管の垂直部分の長さは90cm以下にしましょう。
吸排水管・ガス管・電線等が壁・天井・床を貫通する接合部には座金(ワッシャー)を入れます。
なければ防鼠ブラシや防鼠パテで埋めて下さい。
陳列台と床との距離は90cm以上取って下さい。
冷蔵庫・格納庫・ロッカー・棚等の調度品の裏側はネズミの通路になりやすいので壁に密着させなければなりません。
庇(ひさし)を30cm以上伸ばすとネズミ返しの効果があります。
穴や隙間を塞ぐときはベニヤ板ではなく、硬くて表面が平滑なアクリル樹脂のような素材にしましょう。
ベニヤ板だと1〜数日で通過できる穴を開けてしまいます。