ネズミによる事故を防ぐ

ネズミの食性分析をしよう!

ネズミの食性分析をしよう!

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食性とは、生物が習性上、どのような餌を食べるかを示す際に用いられる言葉です。

 

動物の場合、食性は、雑食性、植食性、動物食性に分けることができます。
さらに、雑食性動物は雑食者に、植食性動物は草食者、種子食者、果食者、種実食者に、動物食性動物は肉食者、昆虫食者、腐肉食者に分けられます。
なお、食性は他にも、多食性と単食性、あるいは広食性と狭食性などに分けることも可能です。

 

ネズミは基本的には植食性であり、ハタネズミ亜科のように草食に適応したグループと、ネズミ亜科のように種子・果実食に適応したグループとがあります。

 

一般に雑食性と呼ばれる家ネズミの場合、ドブネズミは動物と植物の両方を日常的に食べる本当の意味での雑食性ですが、クマネズミは種子と果実を常食とする傾向が強く、ハツカネズミは種子・穀類を常食する傾向があります。
また、いずれの家ネズミも昆虫をよく食べます。
家ネズミは昆虫を食べることでタンパク質だけでなく、ミネラルや水分も摂取しているようです。

 

さて、ネズミが生前どのようなものを食べていたのか調べて欲しいという依頼は意外と多くあります。
特にネズミの生体や死体が製品に混入していた場合、どこで混入したか知ることは非常に重要であり、食性分析はそれを知るための数少ない手掛かりの一つとなり得るのです。

 

食性分析には、食痕観察や採食行動の観察、糞分析、胃内容物分析などがありますが、異物の検査・分析機関に依頼されることが多いのは糞分析と胃内容物分析です。

 

糞分析を行う際は、まず糞をエタノールに浸して軟らかくし、ピンセット等を用いて実体顕微鏡下でほぐしながら、内容物を観察します。
また、必要に応じてプレパラート標本を作製し、透過型顕微鏡下で観察します。
このとき、糞に含まれるネズミの毛は、種を特定する重要な手がかりとなりますので必ず観察するようにします。

 

胃内容物分析に用いるネズミの捕獲には圧殺式罠を用いるのが良いですが、ネズミから胃を速やかに摘出するならば粘着トラップや生け捕り罠でも可能です。
ただし捕獲後長期間生存したネズミは、胃内容物が消化されているため不適当です。

 

摘出した胃は、10〜20%ホルマリン溶液で固定し、内容物を蒸発皿などに移して実体顕微鏡下で観察します。
腐敗物等で見にくい場合は、洗浄のために水を注いで上澄みを捨てた後に観察することもあります。
必要に応じてヨウ素デンプン反応を見ます。容量百分比は、内容物を透明容器に広げて方眼紙上に置き、計測します。

 

ドブネズミやクマネズミの場合、内容物はそれほどかみ砕かれていないため内容物の同定は比較的容易です。
内容物には、食物繊維や昆虫破片の他、実に様々なものが含まれています。



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